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風の味、土の味、
水の味を大切にして

長野県松本市

信州松本 ヒカリヤ

KITTE 5F

ルーツである松本から
素材と想いを東京につなぐ

周囲を山々に囲まれ、伏流水が清らかな湧き水となって流れる。駅前は都会的な雰囲気ながら、国宝松本城の城下町らしい情緒ある町並みも残る。自然も街も、古いもあたらしいも備えた長野県松本市に、「信州松本ヒカリヤ」の原点を訪ねた。

この地で日本料理とフレンチを提供してきた「ヒカリヤ」。統括総料理長の田邉真宏シェフは、松本の魅力を「水」と語る。

「農作物も家畜も水で育てますよね。水で素材の味が大きく変わる。長野県は水がおいしいから、食材もおいしくなります」

食材に対する情熱は、地域の農家と手を取り合い、流通システムをつくってしまったほど。

「自分で歩いて見つけた農家の野菜を直接仕入れるために、長野県全域で240軒ほど、小さな農家をたくさん集めて、ホテルやレストランに野菜を届ける仕組みをつくりました。維持は大変(苦笑)。野菜の出来がよくないときには、生産者のもとを訪れて、肥料を多くしようとか、どうしたらよくなるのかを一緒に話し合います」

それは「地方だからこそできること。風土を大切にすることで、気づくこともたくさんある」と田邉シェフは言う。

「自分で見て、触れて、感じたことを、ひと皿の上で表現したい。風の味、土の味、水の味……素材本来の味を味わってもらいたいんです」

その姿勢は、十割そばの店「信州松本ヒカリヤ」にも受け継がれている。松本産の直送野菜を使い、十割そばは信州産のそば粉100%。松本の素材を活かしながらも、気温や湿度に合わせてそば粉のブレンドを変えるように、食べる場所が違えば感じ方が変わる。東京でのおいしさを追求し、まずスタッフは松本のそば店を1日10軒食べ歩いたそう。自分で体験して感じるために。

KITTEで味わう松本と、現地で味わう松本。両方の「ヒカリヤ」でぜひ体験してほしい。

1. 築130年以上の名門商家を改修したレストラン「ヒカリヤ」。
2. おもてなしの心が細部にまで行き届く。
3. 古きよきものを大切にし、次代へつないでいきたいという想いが、建物から道具、料理まで随所に感じられる。
4. 松本城のほど近くを流れる女鳥羽川と、昔の町並みを再現したなわて通りの趣深い建物。

信州松本ヒカリヤHIKARYIA

5F SHOP PAGE

SIDE STORY

築130年以上の建物の中で
“松本”を味わう、唯一無二の時間

かつて城下町として栄え、大戦の戦火も免れた松本市には、松本城をはじめ、土蔵造りなど歴史深い建物が多く残っている。レストラン「ヒカリヤ」もそのひとつだ。1887(明治20)年に建築された名門商家「光屋(ひかるや)」の蔵屋敷をリノベーション。ナチュレフレンチの「ヒカリヤ ニシ」は漆喰の蔵を改装、日本料理の「レストラン ヒガシ」は国の登録有形文化財に指定されている母屋をそのまま活かしている。建具のほとんどは建築当時のまま、店内の照明もあえて昔の明るさが再現され、木戸をくぐると、まるで別世界へと足を踏み入れたかのよう。趣深い建物の中で地のものを味わう時間は、その空間ごと心に刻まれる、忘れられない体験となるだろう。

1. 取材当日はあいにくの雨予報。さりげなく吊るされていた手づくりのてるてる坊主にほっこり。
2. 「光」の文字は「ヒカリヤ」の店舗ロゴにもデザインされている。
3. 富士山の彫刻が施された立派な欄間(らんま)。
4. 高台にある城山公園から松本市内を一望。
5. 「ヒカリヤ ヒガシ」の窓から望む中庭には、四季を彩る木々と湧き水の池があり、風景からも料理からも季節を感じられる。
6. 黒い格子で外と隔てられた、母屋の玄関へと続く土間。
7. 「ヒカリヤ ニシ」の立派な梁に書かれた極大の筆文字は、大工の棟梁や家主の名前などだそう。
8. 松本市は市街地にもあちこちに湧き水が流れている。水を汲めるスポットも多く、地元の人にとって身近な存在。
9. 和の建築と洋の文化が融合した「ヒカリヤ ニシ」は、温もりと洗練が同居。