STORIES
香りを重ね、魅力を深める、
新発想のフレグランス
SHOLAYERED
KITTE 1F香りを重ねる「レイヤードフレグランス」とは、メイドインジャパンのフレグランスブランド「SHOLAYERED」が提案する、新しい香りの楽しみ方のこと。聞きなじみのない単語だが、どういうものなのか、フレグランスプロデューサーの石坂将さんが教えてくれた。
「ファッション誌では『レイヤードスタイル』ってよく見かけますよね。それと同じことを香りでやったら面白いんじゃないかと思ったんです。人に第一印象を与える距離は、約1mと言われています。その距離で届くのは、衣服や手元から漂う香り。より近づいたときに香るのが第二印象の香りです。その二つを変えることでギャップが生まれ、深みのある魅力を引き出せます」
確かに、誰もがパーソナルスペースの近い相手にしか見せない顔を持っているもの。それを香りで表現するということなのかも。実際にどのように重ねれば良いのだろう?
「まずは服を着る前に、第二印象の香りを胸元や胴回りなどの肌に直接つけます。その後、第一印象の香りを服に2~3プッシュ吹きかける。おすすめは、“第一印象は爽やかに、第二印象は艶やかに”という組み合わせです。清潔感はすごく大切で、爽やかな香りは安心でき、距離を詰めるのを嫌がられない。でも、それは“そこにある心地いいもの”に過ぎず、追いかけたくなる魅力にはならないんです。だから、第二印象で中毒性のある色っぽい香りを纏うと良いと思います」
反対に、おすすめしない組み合わせはあるのだろうか?
「『SHOLAYERED』の香りは、重ねて使うことを前提に作っているので、どう組み合わせてもハマりやすいと思います。日本人の香りの嗜好はすごく繊細なため、海外の香水ではトゥーマッチなんです。だから、『さりげなく香り、癖になる』をコンセプトにしています」
「香水は苦手だけれど、『SHOLAYERED』は好き」という口コミをよく見かけるのも頷ける。
「日本製のフレグランスを世界中に広めたいと思い、『SHOLAYERED』を始めたのですが、世界を意識すればするほど、日本を意識するようになりました。『さりげない』というのは日本の美徳。そこを磨いていくことが自分たちの強みになると思ってやってきました」
今では国内に約30店舗を展開し、香水の本場、フランスに店舗を構える計画もあるという。
「『SHOLAYERED』に来れば確実に人生が良くなる。そういう店であろうと思っています。香水はあくまで嗜好品。でも、美しく生きたいと思うなら香りを使いましょうと伝えたいんです。香りは目に見えないからこそ、その人の美学が出ると信じています」
記憶とともにある香りが
物語を語り継いでいく。
SHOLAYEREショーレイヤード
1F SHOP PAGESIDE STORY
常に挑戦の連続で
「SHOLAYERED」の今がある
「香りに対して、お客様はアート性を求める」と話す石坂さん。「それって非合理性なんです。多数決で決められたような、大量生産できるようなものではなく、狂人が絞り出したものを見たいんですよね。そこには狂気じみたこだわりが出てくるべきだと思いますし、常に最高のものを作り上げるという気持ちで向き合っています」。「『SHOLAYERED』の歴史は、僕の挑戦の歴史」と言うように、石坂さんはこれまでも数々の新しい挑戦を重ねてきた。近年誕生した「1945 オードトワレ」シリーズもその一つ。「『SHOLAYERED』は、シンプルだけれど飽きの来ないコレクションからスタートしています。シンプルというのはバランスが非常に重要で、最適なバランスを突き詰めてから十数年が経ちました。そこで築き上げたものは今後も継続していくし大切なんですけど、今の僕が挑戦しているのは『シンプルからの脱却』なんです。シンプルは、一度究極のバランスを掴むと簡単なんですよ。そうすると『自分、ちょっと楽しているな』という感覚になる。ちゃんと新しいものを生み出そうという負荷を自分にかけないと作れない人間になっちゃうので、まだまだ俺はやれるってところを見せないと!と思っています」。「SHOLAYERED」が生まれた2010年代初頭に比べると、日本製のフレグランスブランドも随分増えた。しかし、シーンの先駆的存在として、「SHOLAYERED」はこれからも見たことのない景色を見せてくれるだろう。