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おいしい豚肉に
一片の妥協なし
金華豚料理 平田牧場 極
KITTE 6F三方を山に囲まれ、日本海に面した山形県の庄内地方。海の幸、山の幸に恵まれ、豊かな食文化が息づくこの地で、「平田牧場」は豚の品種開発から生産、飼育、加工・流通・販売まで、自社で一貫して行っている。
「近年、"6次化"という言葉が使われるようになりましたが、『平田牧場』は創業当時の1960年代から自分たちで生産して加工・販売するというスタイル。自然と6次産業を行っていました」
そう教えてくれたのは、広報課の山本俊介さん。そもそも会社設立が直売所を作るためだったというから驚きだ。養豚業で直売とは、当時はとても珍しいことだっただろう。たった2頭の豚から始まったという「平田牧場」だが、今では約20万頭の規模にまで拡大している。転機となったのは1970年代半ば。
「大手スーパーとの取引をやめて、産直取引に舵を切ったんです。当時は大手流通が力を持っていて、値下げの要求があった。日本一おいしい豚肉を作ろうとがんばっているのに、それに見合う評価をもらえないならと取引を停止したんです」
品質へのこだわりが伝わるエピソードはそれだけではない。3種類の品種を掛け合わせた三元豚を、「平田牧場」は1970年代にいち早く開発。現在、国産豚肉の多くが三元豚だが、平田牧場では一般的な豚と比べ、1カ月ほど肥育期間が長い。
「一般的には早く大きくなる3品種を掛け合わせるのですが、『平田牧場』では最もおいしくなる組み合わせを追求しました。それが中型種のため、大きく成長するのに時間がかかるのです。金華豚はより小さい小型種なので、さらに時間がかかります。肥育期間が長い分、コストもかかりますが、おいしい豚肉を作るため、この生産方法に行き着きました」
世界でも希少な金華豚は、1980年代に中国から輸入。その後、輸入が禁止され、国内では2カ所でしか生産されていない。創業者が「日本の暮らしが豊かになれば、食の嗜好は炭水化物からタンパク質へ移るはず」と始めた「平田牧場」。
「先を見て種をまき、収穫に失敗しても成功しても、必ず次へ進む」という山本さんの言葉も納得だ。
金華豚料理 平田牧場 極KINKA-TON RYORI HIRATABOKUJO KIWAMI
6F SHOP PAGESIDE STORY
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持続可能な社会を目指してきた
きめ細かく、やわらかな肉質で、上品な甘みと旨みが詰まった「平田牧場」の最高級ブランド「金華豚」。実は、当初は金華豚をブランドとして扱う予定はなかったという。「1980 年代、中国に草で育つ豚がいるという話を聞きつけたそうです」と広報課の山本さんが教えてくれた。「当時から日本では家畜の飼料をほぼ輸入に頼っていました。最近のウクライナ危機のように、穀物の輸入が止まると日本の畜産は成り立たなくなります。それを危惧していたため、穀物ではない飼料で育つ豚に注目し、中国から6 種類の豚を連れてきたんです。結局、草では育たなかったのですが、食べてみたらとてもおいしいことがわかり、その中の1 種、金華豚に絞り込んで生産することになりました」。早くから飼料の国産化を気にかけていた「平田牧場」は、やがて飼料用米を開発。今ではすべての豚が「こめ育ち豚」となり、畜産農業の活性化に貢献している。