HUMAN
STORIES
世界一になっても
夢はシンプル
ピッツァで日本を
元気に
統括調理部長 有光 浩全
PIZZERIA e TORATTORIA DA BOCCIANO
KITTE 5Fナポリピッツァとイタリア料理を楽しめる「ダ・ボッチャーノ」の統括調理部長、有光浩全さんは、輝かしい経歴の持ち主だ。2012年、本場イタリアでのピッツァワールドカップで優勝、ナポリでの大会のマルゲリータ部門で日本人初の優勝という快挙。その有光さんが本格ピッツァに出会ったのは、福岡から生まれ故郷の愛媛県松山市に戻り、「ピッツェリア マルデナポリ」で働いてからだった。
「それまでは正直、デリバリーのピッツァしか知らないレベルで(笑)、本格ピッツァってこんなにおいしいんだって感動して。そしたらタイミングよく、ピッツァをメインで担当していた方が退職されるというので、ぜひやらせてくださいと手を挙げました」
そこから有光さんは、ピッツァ作りにのめり込んでいく。
「例えば、パスタは調理工程をある程度、数値化できます。何分茹でて、何gの何を入れ、どのくらい炒めてという具合に。でも、ピッツァはすべて感覚。生地の醗酵温度、焼く温度や時間は、季節や天気に合わせて調整しなくてはいけないし、生地の厚みも感覚です。だから、他の料理と比べ、ピッツァは仕上がりが安定しない。始めたころは、うまくいかないってイライラしてました」
今でも全く同じものは2枚とできないと言う。それがピッツァの難しさであり、面白さなのだろう。その後、有光さんは東京や関西の有名店で学びながら技術を磨いた。
「有名店ともなれば、いろんな経験を持った人が集まるので、みんな言うことが違うんですよね。さまざまな考え方ややり方があると知りました。それらを吸収しながらも、正解は何なんだろう? って思うようになり、半分は答え合わせ、半分は勉強の感覚でイタリアへ。そこでもよいと思うものは取り入れ、変えた方がいいなと思うところは修正して、自分のスタイルが出来上がったと思います」
そんな世界の頂点に立った彼が、今目指しているのは、実にシンプル。「お客さんがおいしいピッツァを食べて、スタッフの笑顔を見てたら元気になったって思ってもらえるお店にしたい。『ダ・ボッチャーノ』で日本を元気にできたら。それだけですね」
ピッツェリア エ トラットリア ダ・ボッチャーノ PIZZERIA e TORATTORIA DA BOCCIANO
5F SHOP PAGESIDE STORY
チームワークで感覚を共有する。
そして、いつ来てもおいしいピッツェリアへ
「ダ・ボッチャーノ」の有光浩全さんに、仕事をする上で大切にしていることをたずねると、「チームワーク」と返ってきた。ピッツァは一人で作るものというイメージだったので、少々意外だ。「スタッフと僕の意思疎通がちゃんとできていなかったり、共有できていなかったりすると、料理のクオリティに乖離ができてしまうんです。僕は自分の持ってる知識や技術はすべて出します。でも、特にピッツァは感覚なので、根底にチームワークがないと伝わらないんです」と有光さん。その感覚をスタッフに教えるために、スマホで動画を撮って見せるなど、さまざまな方法を駆使しているという。「『チャンプがいなくても、ここのピッツァはおいしいよね』って言われるお店にしなくちゃいけないですから」。