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まるで愛媛に眠る
宝モノ探し
伊織/シン・エヒメ
KITTE 2F伊予国の織物を由来に持つ、「伊織」。愛媛県今治市の地域ブランド、今治タオルを中心に扱うタオル専門店だ。
「日本最大規模のタオル産地、今治でも、昔は500以上あったタオルメーカーが、安価な海外製品に押され、今では100以下に。その歴史あるタオルを、お客様の手に取りやすくするのが私たちの役割です」
そのため「伊織」では、タオルをバーにかけて面で見せるなど、ディスプレイにこだわってきたと、代表取締役社長の村上雄二さんは話す。
「今治タオルのいちばんの特徴は、吸水性と肌触り。その機能性を保ちつつ、実はデザイン性が高いことも魅力のひとつなんです。それを可能にするのが、先染めジャガードという技法。糸の状態で先に染め、色のついた糸を組み合わせて柄を織っていくことで、後染めとは違う、綿本来のやわらかさを引き出せます」「面白いのは、同じ今治タオルでも、工場ごとに得意分野が違うこと」と、村上さんは続ける。
「『伊織』では、タオルケットだったらここ、ベビー用品だったらここと、製品ごとにその分野が得意な工場にお願いしています。今でこそ協力工場は約20社に増えましたが、立ち上げ時はわずか5社。『タオルなんて売れない』と言われ、なかなか相手にしてもらえませんでした。でも、やがて自分たちの見せ方にお客様が共感してくれて、実績を出せたことで、工場の職人さんたちにも認めてもらえるようになりました」「伊織」松山店で特産品を扱うアンテナショップを始めたときも、同じようなことがあったと言う。
「『10“TEN”』というブランドのこだわりのみかんジュースも、最初はみかん農家さんに『高価で売れないよ』と言われましたが、今ではアンテナショップ『シン・エヒメ』の人気シリーズです。みかん農家に就農する若い人たちも増えていて、昔ながらの人たちは『いっちょやるか』という機運になっており、うまく化学反応が起きています」
地元の人々にとっての当たり前の中に、愛媛の魅力的なモノはまだまだ眠っているのかもしれない。「伊織/シン・エヒメ」の“発掘”が、これからも楽しみだ。
伊織/シン・エヒメIORI/SHINEHIME
2F SHOP PAGESIDE STORY
ワクワク買い物してほしいから。
その想いが詰まったローカルテーマパークへ
「若い二人が一生懸命だったのでね」。そう言って「村上タオル」の代表取締役、村上好胤さんは目を細め、約15年前に「伊織」との取引を承諾した当時を振り返った。「伊織」の村上雄二さん曰く、誕生のきっかけはお客様の声だったそう。「もともと松山でホテルを運営していて、全室で今治タオルを使用していたんです。ある日、お客様から『今治タオルを買いたいのに、松山には買えるお店がない』と言われ、ないなら自分たちで作ろうと立ち上げました」。やがて「伊織」の知名度が高まると、観光名所「松山城」の麓でのアンテナショップ(現松山店)運営を持ちかけられ、それが「シン・エヒメ」へと続いていく。お客様の声から始まり、ずっと消費者目線を大切にしてきた。だから、どの店舗にも買い物のワクワクが詰まっている。