KITTE STORIES|KITTE丸の内 | JR・丸ノ内線 東京駅に直結したショッピングセンター

KITTE10周年
10th Anniversary Interview
From SHINYA KIYOZUKA

人との「出会い」と「つながり」
音楽を創るときに大切にしていることです

日本の中心・東京丸の内で、いろいろなヒト・モノ・コトとの出会いをつなげてきたKITTE。開業10周年を記念した公式楽曲を手がけたピアニストの清塚 信也さんは、自身でも「出会い」や「つながり」をテーマに全国47都道府県を回るコンサートツアーを展開しています。清塚さんに楽曲に込めた思いや人との出会い、そして「つながり」について聞きました。

旅をしながら作曲したり、
演奏したり、
そんな暮らしに憧れていました

子どもの頃から旅をしながら作曲したり、演奏したり、そんな暮らしに憧れていました。全国47都道府県を回るコンサートツアーを始めたのも、そんな気持ちがあったからだと思います。

コンサートで全国各地を回ると「日本って広いな」と感じます。例えば、北海道の札幌でコンサートを開いても、「遠くて行けない」という道内の人はたくさんいるでしょう。だから全国の隅々まで出向いて音楽を届けるというのは私にとって、すごく大事なことなんじゃないかなと思っています。

人と出会ってつながることは
ある意味、奇跡に近いと思うんです

というのも、私が大切にしていることのひとつが、人と人との「つながり」だからです。人と人との「出会い」というのは奇跡に近いくらい大切なもので、人は誰に出会うかによって努力が報われたり、才能が開花したりすることすらあると思っています。

私もモスクワに留学していた頃、音楽に行き詰まりを感じたときにふらっと旅にでました。旅には独特の哀しさや孤独さがあって、だからこそ人の温かさをちゃんとわからせてくれるんですよね。旅で人に出会い、つながり、自分とも向き合うことができました。そんな経験もあって「作曲を頑張ってみよう」と決意を新たにでき、それが今に「つながっている」のだと思います。

人と人との出会いはファンタジック
そんな思いを楽曲に込めました

それに「つながり」や人と人との出会いには、魔法みたいなファンタジックなところがあると思いませんか。「あのタイミングであの人に出会わなかったら、今の自分はないな」と感じることがたくさんありました。全国を回っていると、その時々、その場所でしか生まれない出会いがあり、全国の隅々にまで行けば行くほど「つながり」が生まれ、そこから世界が広がっていくでしょう。じつは、開業10周年記念公式楽曲には、そんな思いを込めています。ハーモニーやリズムに少し工夫をして、人と人とのつながり、そこにある魔法のように美しくてファンタジックな何か、つながりから広がる世界を楽曲の中から感じていただけたら嬉しいです。

日本はどこも魅力的で表情が違う
特に東京はいろいろな顔がありますね

日本は広いだけでなく、どこも魅力的です。そんな中でも東京は独特です。いろいろな顔があって、KITTEがある東京駅周辺は伝統と新しさが混ざり合った魅力がありますね。私にとっては全国各地に演奏に行くときの起点でもあるので、シャキッとしないと大きなエネルギーに負けそうになってしまうことがあります。

そんな全国各地の魅力をモチーフにして楽曲を創れたらと思って、取り組んだことがあります。47都道府県のそれぞれのテーマ曲を創るようなイメージです。ところが実際にやってみたら、これが難しい。それぞれの地方にいろいろな顔があり、「ここは、これをテーマに」と絞り切れないのです。いつかやり遂げたいと考えていて、どうやろうかアイデアを温めています。例えば、葛飾北斎の描いた浮世絵に楽曲をつけてみたら素敵だろうな、なんて考えたり。日本各地の魅力を一つひとつ掘り起こして音楽で表現する、できたら素晴らしいですよね。

清塚氏

ピアニスト清塚 信也SHINYA KIYOZUKA

5歳よりクラシックピアノの英才教育を受け、2005年日本ショパン協会主催ショパンピアノコンクール第1位など、国内外のコンクールで数々の賞を受賞。作曲家としてドラマ・映画・舞台の劇伴やテーマ曲を手掛けるほか、ピアニストとして次々と新しいフィールドへの挑戦を続け、常に話題と注目を集めている。

KITTE10周年
10th Anniversary Interview
From HIROSHI NAGAI

古さと新しさが同居する
KITTEには不思議な魅力がありますね

KITTEの開業10周年記念キービジュアルを描き下ろしたイラストレーターの永井 博さん。
青空とヤシの木が美しい南の島や世界各地の街並み、日本の風景をモチーフとしたトロピカルで開放感のあるイラストが世代を超えて人気です。
永井さんに、キービジュアルに込めた思い、創作活動や絵を通した人と人との「つながり」についてお聞きしました。

ミッドセンチュリー時代の
建物が醸し出す安定感が好き

仕事や旅行などで日本各地のさまざまな風景を目にしてきましたが、やはり街が好きです。以前は地方の街を訪れたら、必ずその街にあるレコード屋さんを覗いて歩いていました。それも中古レコードを売っている店です。レコードを集めるのが趣味だったこともありますが、街並みの中にある中古レコードを売っているような古い店や建物を見て歩くのが楽しかったのです。

古い店や建物では、とくに1960年代のいわゆるミッドセンチュリーの時代の建物にも魅かれます。当時の建物にはデザインされ過ぎていないシンプルさと、どっしりとした安定感があるように思います。石造りの建物も多く、だからこその安定感もありますが、建物が時代を映し出しているというか、人と人とのつながりが今よりも安定していたような、建物からそんなことまで伝わってくる気がするんですよね。そんな雰囲気を醸し出しているように感じます。今は時代も変わったし、建物にしても人との関係性にしても少し軽薄になってしまったように思うことがありますね。

KIITEをあらためて見ると
趣があり「いい建物だな」と思います

そんな視点で10周年を迎えたKITTEを見てみると、やはり趣があって「いい建物だな」と思います。安定感を感じられる古い時代の建築を残しつつ、ガラス張りの新しいビルが創られています。古いものと新しいものが同居しているような街や建物には、得も言われぬ魅力を感じます。

KITTEのキービジュアルでも、そんな魅力を表現しようと描きました。細かい窓の格子や正面に見える丸みを帯びたR(アール: 曲面)の部分など、とても細かい作業で苦労しました。この絵をご覧になってくださった人たちには、そんな苦労したところも含めて、古い建物の安定感、新しいビルの洗練された美しさ、そして開放感などを感じていただければ嬉しいですね。

京都や金沢など
古い街並みに魅かれますね

KITTEのある東京だけでなく、日本には魅力的な街が各地にありますが、私の描く絵はその街の風景をそのまま描いているのではありません。例えば、北海道の美しい山々を描きながら、その手前にカナダの街並みを描いてみるなどコラージュしています。つまり、現実には存在しない場所ということ。

高い建物や山から街並みを見たときや、京都や金沢などの古い街並みを訪れたときなどにコラージュのアイデアが浮かんだり、インスピレーションを感じたりします。年齢を重ねた今は特に古い街並みに魅かれるようになりました。

なんとなく「気持ちいいな」
そう感じてもらえたら嬉しいですね

KITTEという名称から切手を連想する人も多いと思いますが、じつは日本郵便のオリジナル切手作成サービスを利用して自分の描いた絵を切手にしています。これを封書に貼って送ると相手が喜んでくれることもあって、こっちも嬉しくなりますね。絵を描くことで人と人をつなぐのは、なかなか難しいことだと思いますが、そんなことがあると、気持ちがつながったように感じます。

私が描く絵をひと言で表現するなら「開放感」です。私の切手や絵に描かれる青空やヤシの木を見て、なんとなく「気持ちいいな」、そんなふうに感じてくれる人が少しでも増えてくれるといいですね。

永井氏

イラストレーター永井 博HIROSHI NAGAI

1976年よりイラストレーターとして活躍。レコードジャケットや広告ビジュアルは、今もなお語り継がれ現在も幅広く愛される普遍的な作品を生み出している。2023年には新刊『THE JOURNEY BEGINS』を刊行。