HUMAN
STORIES
ごはんが主役の食堂に
「おかわり」の
声が響く
経営企画部 事業推進グループ長 北村 充子
Zojirushi Shokudo
KITTE 5F大阪で話題の行列店「象印食堂」が、満を持して東京に初出店。その生みの親ともいえる、象印マホービンの北村充子さんは、意外にも飲食店に関しては素人だったと言う。
「もともと、大学で家政学部の食物栄養学を専攻していて、食にはとても興味がありました。家族や大切な人を、食で健康にしたいという気持ちはあったんです」
入社後、商品の品質評価をする部署や商品企画部などを経験した北村さんに、ある日突然、難波に行くようにと指令が下ったそう。
「『象印食堂』を立ち上げると言われ、『飲食店なんてやったことないけど、何をすれば?』という感じでした。しかも、『象印食堂プロジェクト』という名前はあったものの、私以外は広報部、経営企画部の部長のみ。『えっ!?』と思いました(笑)」
そこからは試行錯誤の日々。飲食店経営の専門企業の協力の下、初の飲食店立ち上げに奮闘した。
「飲食店のプロからすると、ごはんは洗米機を使い大きな釜で炊くのが普通で、家庭用炊飯器なんて考えられないこと。常に約30台の炊飯器の減り具合を見て、量を考えながら炊くのは効率が悪いですから。最初は『やってられへん』と言われました。でも、『炎舞炊き』で炊いた最高のごはんを出すことは譲れない。だから、食べてもらったんです」
スタッフたちの説得に成功したのは、“ごはんの力”だった。
「炊きたてのごはんに感動して、面倒でもやるべきと理解してくれました。それだけ、ごはんにはこだわっています。五つ星お米マイスターが特別にブレンドしたお米を使い、できるだけ炊きたてに近い状態を食べてもらうために、保温時間が長くなったらお客様には提供しません」
そのごはんを引き立てる、おかずへのこだわりも負けていない。
「品数が多くても、どれも同じ味わいにならないように考えました。おかずによってごはんの味わいが変わるのを楽しんでもらいたくて」
そんな北村さんにとって、店内に響く「おかわり」の声が何よりの喜び。かつて、大切な人を食で健康にと思っていた彼女は今、より多くの人をごはんで幸せにしている。
象印食堂 東京店Zojirushi Shokudo
5F SHOP PAGESIDE STORY
ごはんをおかずに、ごはんが食べられる。
うれしそうな顔を、生産者さんにも見せたい。
ごはんが進むおかずというと濃い味付けが多いが、「象印食堂」では少し薄味にしている。それは、ごはん本来のおいしさを味わってもらいたいから。ごはんへのこだわりは、お米や炊き方だけではない。炊きあがった時の撹拌や茶碗へのよそい方も、それぞれスタッフに研修を行うほど徹底している。「ごはんのおいしさは、口に入れた時の味わいだけじゃないって、店舗を始めて気付きました。炊きあがった時の香りやキラキラしたツヤ感など、五感でおいしさを感じてほしいんです」と話す、「象印食堂」の北村充子さん。「本当においしいごはんを食べると、みんなこんなにうれしい顔をしてくれるんだっていうことも『象印食堂』で知って、目からうろこでした。生産者さんにも、この顔を見ていただきたいですね」。