HUMAN
STORIES
幅広くて奥深い
中国大陸料理に
魅せられて
丸の内テラス 過門香 料理長 石井二郎
MAINLAND CHINA
丸の内テラス 過門香
KITTE 6F
同じ中華でも材料も
調理法も違う。だから面白い
2013年、「過門香」KITTE店立ち上げの際、料理長を任された石井二郎さん。その料理人への道は、食物科のある高校に入学したところから始まった。「実家が精肉店で、子どもの頃から食文化がすごく身近にあったんです。手伝いで飲食店へ配達に行ったりもしていました。父も職人で、自分も手に職をつけようと思っていましたし、そういった環境の中で、料理を作ることに興味を持つようになったんです」
数ある料理ジャンルの中から、中華料理に進路を決めたのは、意外にもグルメ漫画の金字塔『美味しんぼ』の影響だという。
「当時流行っていて、当然、僕も読んでいましたし、今も全巻持っています(笑)。その中華料理の回で、中国は国土が広く、歴史も長いため、いろんな料理の系統があると知りました。中華の幅広さと奥深さは、勉強のしがいがあるのではないかと思ったんです」
その後、結婚式場やホテル、大手外食チェーンや企業の商品開発など、さまざまな分野で中華料理に携わってきた。そして「過門香」銀座本店に入り、再び中華料理の多様性を実感する。
「『過門香』は広東、四川、北京、上海という中国四大料理すべてを提供しています。総料理長の中野雅之は広東料理を極めており、上海料理で有名な点心と四川料理は、それぞれ本場中国から招聘したスペシャリストが監修しています。僕は上海北京系だったのですが、同じ中華でも広東料理になると材料や調理法が違うので、それまで20年近い経験を積んでいても、まだ新しく覚えることがありました。最初は戸惑いましたが、今は幅広くいろんなことを学べて良かったと思います」
特にKITTE店では、その幅広さが生かされているという。
「平日はビジネス街で働く方々の会食、土日は東京駅直結なこともあり、同窓会や顔合わせなどが多いんです。そうした老若男女の幅広いニーズにお応えできるのも、中華料理の魅力だと思います。そして、その集まった人々の中心には、自分たちの作った料理がある。特別な時間を演出できるよう、みなさんに喜んでもらえるものを作り続けたいです」
MAINLAND CHINA
丸の内テラス 過門香MA INLAND CHINA MARUNOUCHI
TERRACE
KAMONKA
6F
SHOP PAGE
SIDE STORY
「過門香」の中国大陸料理は、
料理人たちの意志を纏い、国境を越え、歴史を超える
幅広い中華料理の中でも、「過門香」の「麻婆豆腐」は、石井さんが今まで作ってきたものと全く違う、見たことのないレシピだったという。「日本の麻婆豆腐は、濃口醤油と砂糖を入れるのが一般的なレシピなんです。でも、『過門香』ではどちらも使わない。それでいて、スパイスの複雑な香りと、辛さや痺れ、後を引く旨味を表現している。こんなレシピがあったのかと勉強になりました」と石井さん。今の目標は「後継者を育てること」だそう。「これまで先輩たちからいろんなものを引き継いできて、今の自分がいる。その恩返しとして、引き継いだことを次に繋ぐのが、これからの僕の大切な役割だと思っています」。そして、「過門香」の味は歴史を超えていくのだろう。