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少しだけ日常を
上質にする
名脇役でありたい
BURDIGALA STAND
KITTE 1F土地によって文化が違えば
求められるパンも違うから
パンは土地に根付いた“文化”だ。広尾に本店を構える「ブーランジェリーブルディガラ」を訪れて実感した。いつからか日本では「フランスパン」が「バゲット」となり、「ベーカリー」が「ブーランジェリー」と呼ばれるようになったが、「ブルディガラ」が広尾に出店した2004年には、ハード系のパンを多く扱うお店はまだ少なかった。
「もともとワインを楽しむためのパンを作りたいというのが始まりでした。『ブルディガラ』という店名も、ワインで有名なボルドーの古典名なんです」と教えてくれたのは、広報の朝倉由起子さん。
「ワインや食事と合わせて楽しんでいただくために、パンの個性が主張しすぎず、かといって個性がなくならないようにというバランスにいちばん気を遣っています」
まさに名脇役といえる食事パンは、大使館が多く、外国人も多く住む広尾のニーズにも合っていた。
「舌の肥えた、こだわりの強いお客様が多いので、中途半端な商品は出せない。どういう点がおすすめだから食べていただきたいと、きちんと伝えられるパンでないとお客様に見抜かれてしまうんです。それが難しくもあり、楽しいところでもあります。広尾の街に育てられたといえますね」
朝の散歩がてら、お店に立ち寄ったお客さんが、2、3点のハード系食事パンを小脇に抱えて出ていく。その姿はとても自然で、かっこいい。一方で、KITTEの「ブルディガラ スタンド」では、常連のオフィスワーカーがいつものコーヒーとクロワッサンをサクッと買って、颯爽と去っていく。一連の動きには無駄がなく、洗練ささえ感じさせる。そういった土地のニーズを汲み取るのも、「ブルディガラ」の特徴。店舗によって、取り扱うパンの種類も異なるのだ。
「広尾本店は全9店舗の中で、もっとも食事パンの割合が多いですし、大阪店と関東の店舗では商品が全く違うんです。その土地の文化に合ったパンを提供するために、各店舗のスタッフととことん話し合います。時には言い合いにもなるくらい(笑)」
そうしてできたパンは人々の暮らしに溶け込み、「ブルディガラ」のブランドミッションどおり、日常を少しだけ上質にしてくれる。
BURDIGALA STANDブルディガラ スタンド
1F SHOP PAGESIDE STORY
パンを楽しむ日常の中に
時代とともに変わる“上質”が現れる
「日常生活を少しだけ上質に」をミッションに掲げてきた「ブルディガラ」の広報・朝倉由起子さんは、売り場で“上質”の変化を感じるという。「広尾本店ができた頃は、“上質”というと高価や豪華なものだったと思うんです。でも今は、『簡易包装で』とおっしゃるお客様や、自分が食べたい量だけ買うようにして、その分まめに通ってくださるお客様が増えました。本当に気に入ったものだけを楽しむというのが上質な暮らしであり、それがエコにもなっていると感じます」。「ブルディガラ」自体も“ウェルネス”や“ウェルビーイング”を打ち出したパンの開発や、フードロスへの取り組みを行っているそう。街に育てられたパン屋さんが、地球に優しいパン屋さんへ進化している。