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HUMAN
STORIES

優れたデザインは
人をつなぎ、人を動かす

KONCENT/アッシュコンセプト代表 名児耶秀美

KONCENT

KITTE 3F

〝できない〟の壁を乗り越え、
いいデザインにたどり着く

「オリジナルブランドの『+d』で最初に作ったのが、『アニマルラバーバンド』です」

デザインプロダクトショップ「コンセント」を運営するアッシュコンセプトの代表・名児耶秀美さんは、そう言って動物型のカラフルな輪ゴムを床に置き始めた。

「普通の輪ゴムが落ちていても気にかける人は少ないですよね。でも、動物の形にデザインされていると思わず拾ってしまう。『モノを大切に』と言葉にするより、デザインの力で行動を変えることができるんです」

「+d」をはじめ、「コンセント」で取り扱われる商品同様、名児耶さんも人を惹きつける魅力とユーモアにあふれている。アッシュコンセプトが多くのデザイナーや全国のメーカー、職人とユニークな商品を生み出してきたのは、彼の人柄も影響しているだろう。

「僕はただ、素晴らしい日本のデザイナーに脚光を当てたかっただけ。そもそも日本人には、使う人のことを考えてものづくりをするDNAが流れているんです。アートは自分のため、デザインは人のために形づくるもの。日本には世界トップレベルのデザインがたくさんあるのに、海外と比べて、デザイナーが表に出てこない。だから、『+d』ではデザイナーの顔と名前をパッケージに入れています」

「デザインの裏にあるメッセージを形にして届けたい」と名児耶さんは言う。その発信の場である「コンセント」の商品基準は、いたってシンプル。「自分が本当に欲しいかどうか」だ。そのために、デザイナーや職人たちとディスカッションを重ねる。

「大抵『できない』って言われるんですよ。その言葉を聞くと、『来たー!』って思いますね(笑)。だって、『できない』という壁のないものづくりは、成功しないと思うから。使う人の気持ちを考え抜いて、壁を乗り越えられたら楽しいし、いいものができるんですよね」

彼の周りにものづくりの人々が集まり、商品を求めて「コンセント」に人々が集まる。そのコミュニケーションを生むのもまた、デザインの力なのだろう。

1. 花器だけでも独創的なラインナップ。
2. 使っても動物の形に戻る「アニマルラバーバンド」。
3. 仕事の必需品「伊藤バインダリー ノートブック」。打ち合わせ中にアイデアをスケッチすることも。
4. 瞬時に水滴を吸い取るコースターなど、「soil」シリーズでは日本古来の壁材・珪藻土の新たな可能性を提示。

KONCENTコンセント

3F SHOP PAGE

SIDE STORY

つくり手も使い手も喜ぶ
デザインが世界を元気にする

「デザイナーは“作品”をつくりがち。それをユーザーが喜ぶ“商品”にするのが僕らの仕事」と、「KONCENT」のオーナー・名児耶秀美さんは言う。「KONCENT」の商品に“ありそうでなかった”視点を感じるのはそのためかもしれない。どれもおしゃれなだけでなく、使い勝手の良さや遊び心がデザインされている。それを形にするのは簡単なことではないだろう。だが、デザイナーも職人も、ブツブツ言いながらも楽しんでつくるそう。そうして生まれたブランドのひとつ「hmny」は、国内有数の革製品の産地、香川県東かがわ市の、革手袋しかつくったことがなかった職人たちの可能性を広げた。つくり手も使い手も喜ぶ、それが「KONCENT」のアイテムなのだ。

1. 「hmny」の「キーパック」はスマートキーや家の鍵などをまとめて収納可能。
2. 名児耶さんの実家は100年以上続くブラシメーカーで、幼いころからものづくりが大好きだったそう。
3. ぷにぷにの感触が気持ちいい「+d カオマル」シリーズ。
4. 左官職人の伝統技術を用い、珪藻土を生活に取り入れた「soil」シリーズ。
5. 道端の野花がおしゃれに変身する一輪挿し「+d ミチクサ」。
6. カメラを向けるとティッシュケース「+d フォリオ」からティッシュを取り出し始めた、サービス精神満点の名児耶さん。
7. 「KONCENT 蔵前本店」(移転のため5/12にクローズ)にはロフトのようなスペースがあり、秘密基地のよう。
8. 地元・蔵前を盛り上げるために制作したというMAP。
9. 本店内にスタンドを構える「SOL'S COFFEE」も蔵前のコーヒーショップ。