KITTE STORIES|KITTE丸の内 | JR・丸ノ内線 東京駅に直結したショッピングセンター

HUMAN
STORIES

流行を超え、
長く愛せるものの
価値を見つめて

CLASKA Gallery & Shop“DO”/
ディレクター
大熊健郎

CLASKA Gallery & Shop“DO”

KITTE 4F

ものの価値は、置かれる
環境との関係性で変わる

インテリアショップ「IDEEイデー」、ANAの機内誌『翼の王国』の編集者を経て、大熊健郎さんが「クラスカ」に携わったのは、2007年。デザインホテルの先駆け「ホテル クラスカ」のリニューアルだった。

「当時の会長から、『クラスカ』をライフスタイルブランドを発信していく場にしたいと言われて。クリエイターのインキュベーション施設として機能させたいという想いがあったようです。そのリニューアルを進めていく過程で、自分の経験からできることとして『DOドー』というお店を提案しました」

 大熊さんが長く勤めていた「IDEE」は海外のアイテムのイメージが強いが、「DO」では「日本」をテーマにしたことが意外だ。

「当時、僕個人の気分として、デザインコンシャスなものに疲れていたんです。グローバルスタンダードが叫ばれていた反動もあって、ローカルなものを見直したいと思うようになっていました。日本は、時計や車などの高級品に関しては、海外の商品に追いつけない部分がある。でも、日用品や生活雑貨のクオリティーは、ずば抜けて高いんです。そういう身近な価値を再発見するとともに、今の暮らしにフィットする商品を提案したいと思いました」

 今ではライフスタイルショップとしてブランド力を確立した「DO」だが、開店当初はなかなか軌道に乗らなかったという。ひとつの転機となったのが、鮮やかな朱赤が印象的な九谷焼の器だった。

「九谷焼の分厚いカタログを眺めていて見つけました。派手な絵付けの器が並ぶカタログで見ただけではピンと来なかったけど、シンプルな白木のテーブルにひとつだけポンと置いたら、器の華やかさが今風に感じられるのではと思ったんです。置かれる環境との関係性で、ものの価値が変わってくるということを発見できました」

それは、「DO」の掲げる「今の暮らしにフィットする」を象徴するアイテムといえるだろう。

「ある時、お客様に『この店には嫌なものがひとつもない』と言われて、嬉しかったですね。店が目指す世界観を表していると思いました。決して高級品じゃないけど、長く使えて愛せるものを、これからも提案していきたいです」

1.テーブルウェアやキッチン用品から、バス・ボディケア用品、アパレルまで幅広く取り扱う。
2.大柄の山茶花(さざんか)が描かれた九谷焼の「山茶花鉢/吉臣窯」は、3色のコントラストがインパクト大。
3.大熊さんが落書きしたメガネのイラストが商品化されるという遊び心も「DO」の魅力のひとつ。
4.「DO」オリジナルのテーブルウェアシリーズ。マグカップは「ブルーボトルコーヒー」などともコラボしている。

CLASKA Gallery & Shop“DO”クラスカ ギャラリー アンド ショップ ドー

4F SHOP PAGE

SIDE STORY

すごく良いものでも、広く手にとってもらえなくては意味がない。
だから、実際の用途と価格のバランスが大切

「『コレ、いいよね』って言うのと、自分のお金を払って買うことには、大きな差がある」と大熊さんは言う。「私たちにとっては買っていただくことが、いちばんの評価。だから、『DO』に置いてあるものは、商品が醸し出す誠実な感じと、長く使えそうであること、そして、実際の用途と価格のバランスを大切にしています」。大熊さんが手掛けたBANKシリーズも、それをよく表している。「自宅で使うスリッパを探していて。シックなものが欲しかったけど、レザーだと2万円くらいする。スリッパにその金額はなかなか出せないですよね。BANKシリーズはあえて合皮にすることで、機能性と手頃さを実現させました」。その誠実な姿勢が、「DO」への信頼感を高めている。

1. 原宿発アイウェアブランド「Ciqi(シキ)」のオリジナリティーあふれる眼鏡。
2. スリッパからバッグやポーチなどに広がった「BANK」シリーズ。大熊さんが日本民藝館で出されたスリッパを気に入ったことから、それを作っている業務用専門のスリッパメーカーに辿り着き、実現した。
3. 大熊さんの柔軟な思考が、「DO」に流れるユニークさにつながっている。
4. オリジナルアパレルブランド「D(ディー)」は、ベーシックな中にもちょっとした遊び心が光る。
5. イラストレーター塩川いづみさんによるオリジナルキャラ「MAMBO(マンボ)」。
6. さまざまなMAMBOアイテムが揃う。
7. 日本各地の伝統工芸品も多数。
8.「そば猪口/文三窯」は伝統的な伊万里焼に現代的なかわいさをプラス。
9. 経年変化も楽しめる「銅之薬缶/東屋」。